やっとキラに会えた。
終戦後のごたごたで、直接会うのは3ヶ月ぶりで。
だからこの休暇をずっと心待ちにしていたのに…っ
キラの幼馴染の阿呆(機械ヲタクで変態の奴だ)がはるか後方で
ガッツポーズを作っていた。
くそっ!絶対撒いてやるっ!!
FOREVER MINE ver.Miguel
「どうしたの?」
背後ばかりを気にする俺に気付いたのか、キラがシャツを引っ張る。
不安なときにする仕草だ。
俺にしかしないから(癖なのかとしばらく観察した)奴は知らないはずだ。
僕といるのつまんない?と目が訴えている。
涙まで浮かんできそうな潤んだ大きな目に苦笑して頭を撫でてやる。
不安そうな顔から打って変わって安心したようにふわんと笑う。
花も飛びそうなその笑顔に眩暈がした。
「ミゲル?」
「いや、なんでもない」
かわいいキラにあてられたなんて本人に言えるわけが無い。
誰か(主にラスティか)に惚気るのならともかく。
「それよりも、ケーキ取りに行かなくていいのか?」
「!」
慌てて立ち上がってケーキを取りに行く。
時間制限があるから動かないと勿体無い。
「ミゲルのも取って来た!」
「サンキューな。こっち?」
「うん」
チーズケーキとガトーショコラののった皿を渡してくれる。
甘いのがあんまり得意じゃないのを知っているから甘さ控えめな
ケーキを取ってきてくれたのが嬉しい。
「…そんなに食うの?」
キラの皿の上のケーキを見て一言。
「ええ!?まだこんだけだよ?」
お前の胃袋は底なしか!?
好き嫌いの多い偏食児童のくせに甘いものには目が無い。
ふと目を離すといつも何か甘いものが口に入っている。
キャンディだったり、クッキーだったりチョコレートだったり。
だから、キラにキスをするとものすごく甘い。
…嫌いじゃないけどな
「ミゲルのおいしそう…」
俺のガトーショコラを羨ましそうに見ている。
一口食べさせればキラは満足するだろうけど…
「うまいぞ」
「一口ちょうだい」
「取って来ればいいだろう?」
少し意地悪をしてみる。
どんな顔をするのかなんて解り切っているけれど。
「ぅ〜〜〜…」
ぷっくり頬を膨らませて威嚇してくる。
なんていうか、餌を頬張ったリスみたいだ。
俺の緩んだ顔に気付くと、今度は唇を尖らせて拗ね始める。
「キラ…」
「ぷん」
「キラ…」
「ふ〜んだ」
「きぃら…」
「むぅ〜〜」
なかなか直らないキラのご機嫌に苦笑しながら口元にガトーショコラを
一口もっていく。
「ほら…」
「わぁい!あ〜ん」
ぱくっと俺の差し出したフォークにかぶりつく。
その時の嬉しそうな顔といったら…っ
「キラのもうまそうだな?」
「うん!おいしいよ」
「一口欲しい」
「いいよ。あ〜んして?」
俺がやったように、自分の食べているイチゴショートを一口、俺の口元に
持ってくる。
ああいえばキラがこうしてくることなんてわかりきっていて。
アスランの悔しそうな顔が目に浮かぶようでいい気味だ。
ふいにキラのほうからこの場にそぐわない機械音が聞こえてきた。
音の方に目をやると目が赤く光ったトリィと目が合った。
………あのメカヲタク…っ
怒鳴りたいのをぐっとこらえて、トリィを睨みつける。
何か懲らしめる方法はないかと頭をフル回転させる。
…いいこと思いついた…
「キラ、ついてる…」
なんにもついていないキラの頬を舐める。
「んっ…」
可愛く声を上げるキラ。
聞かせてやるのは勿体無いけど、あいつには分からせる必要がある。
キラは誰のモノなのか。
…これくらいで諦めるとは思えないけどな…
思ったとおり固まったらしいアスランを尻目にキラの手を引いて店を出る。
この後の予定はキラの啼き声を聴きにいくとでも言っておく。
後日、キラには内緒でアスランの頭を拳骨で殴っておいた。
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捧げもの第2弾。
タイトル通り、ミゲルverです。
つか、なんだか黒ミゲ…